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セカンドスクール

セカンドスクール

「学力低下」が大きな教育課題として取り上げられるにつれ、学力低下の原因は「総合的な学習」にあるというような主張がでてきています。そのためもあるのか、「総合的な学習」を本来の趣旨とは別に一部を教科の補習等にあてたり、学校行事にあてたりと本来の趣旨に反するような取り組みを行っているところがあります。
 今改めて、なぜ「総合的な学習」が設けられたのか、ねらいや長所、短所について考えることがとても大事だと考えます。その上に立って、より一層「総合的な学習」を充実させていければと願っています。
 「総合的な学習」は戦後の教え込み型といわれる授業の反省や伝統的な教科中心の指導法に対する一つの批判として発展してきています。そして「生きる力」の育成を目標に「横断的・総合的な学習」が提起されました。これは、数個の教科にまたがり、総合的に学習させる方法で、記憶中心の学習を排し、問題解決の過程を通して生きて働く学力を身につけさせようとしています。背景としては、主に次の考え方があります。
(1)言語中心の暗記主義を排し、体験を重視し、経験学習や直観教授を取り入れる。
(2)子どもの興味・関心や自発的活動を重視する。
(3)知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目ざす。
(4)教育の生活化を目ざす。子どもの日常の生活経験を中心にして、あるいはそれとの関連において知識・技能を総合的に学習させ、実際の生活場面で出あう問題を処理・解決できる知識・技能・態度を育成しようとしています。
「総合的な学習」の長所と短所についてまとめてみました。
 長所 としては、子どもの自発的学習を促し、主体的創造的な思考力、問題解決力を育成し、実践的な生活力を身につけさせること等ができると考えます。
 短所としては、教師が問題を探すのに骨が折れ、指導計画を立てるのに労力と時間を必要とします。また作業が多くなり、指導に時間を要します。子どもの興味や自由な活動を尊重するあまり、場当たり的な学習となりがちで系統的な知識、技能が習得されにくい場合があります。
最後に学校行事との関連について触れさせていただきます。学校行事は、「学校教育目標の達成を図るための重要な教育活動であり、学校全体、又は学年が集団で行う教育活動です。児童の心身の発達に則し、変化と潤いを与え、集団としての学校生活の充実と発展に直接つながる教育活動であり、豊かな社会性を育成する上でも極めて大きな役割を担っています。」等の特質を持っており、「総合的な学習」とは異なる特質を持っています。この違いをしっかりと押さえたうえで、一緒にして取り組んだほうが効果的なものは一緒にして取り組むとよいと思います。「学校行事」と「総合的な学習」を一層充実させることが今日の教育にとって喫緊の課題であると思います。

支援・評価の工夫

 指導計画・活動計画を立てる際には、次の3つの視点から支援・評価の工夫を行いました。それぞれの視点について方針を明らかにし、単元のねらいに即して児童の興味・関心や思い・願いを尊重した学習活動が展開できるよう、具体的な手だてを講じました。
  ア)体験的な活動や実体験の工夫
○ふれあう、体を動かす、物を作る、機器を操作する、観察実験をするなど、体験的な活動 や実体験を中心に据えた学習活動を展開する。
○身近な自然や環境とかかわる学習材を活用する。
セカンドスクールや移動教室などの学校行事との関連付けを工夫する。
  イ)人と豊かにかかわる学習活動の工夫
○聞く、取材する、交流する、話し合う、協力して取り組む、発表するなど、様々な人とのかかわりを深める活動の場面を意図的・計画的に設け充実させる。
○礼儀やマナー、取材の仕方や調べ方、討論の仕方など、学び方やかかわり方を習得できるようにする。
○保護者や地域の方々をゲストティーチャーや学習サポーターとして迎えるなど、指導体制を工夫する。
  ウ)学習意欲を高める学習内容・評価方法の工夫
○学習内容の工夫
 ・驚きや感動のある出会いの場の設定…主に「出会う」段階で
 ・個々の児童が課題を明確に把握し、学習の見通しをもつ場の設定…主に「つかむ」段階で
 ・取り組んできたことの情報交換と再検討の場の設定…主に「追究する」段階で
 ・児童の自信につながる表現の場の設定…主に「伝える」段階で
 ・じっくりと学習に取り組める時間の保障、環境の整備
 ・多様な学習形態の工夫
 ・多様な情報や資料の提供 →課題解決の中で児童が選択できるようにする。
 ・多様な機器の活用
○評価方法の工夫
 評価方法の工夫については、次のような考えに立ち、授業実践を進めながら模索しているところです。
【児童の学習意欲を高めるために大切にしたいこと】
 ◆児童の気付きやよさを見取ることのできる評価方法を工夫する。
 ◆児童が自分の見方や考え方を深めることのできる評価方法を工夫する。
【そのための方策】
 ◇単元の観点別評価規準に即して、学習活動ごとの評価規準を明らかにする。
 ◇「何をもとに評価するか」を明らかにする。
 ◇多様な評価方法を活用して児童の活動を見取り、記録する。
 ◇評価の結果を児童に返したり、指導・支援に役立てたりする。
 ◇自己評価・相互評価を重視し、その後の学習に生かせるようにする。
 ◇「次の学習で、何をどのようにしたいのか」を捉えることができるようにする。
 ◇評価材料を集積しておき、児童自らが学習の足跡を振り返れるようにする。

①「総合的な学習の時間」の具体的な評価方法について

【具体的な評価方法】

☆指導者による評価・・・ つぶやき、発言、発表、意見、質問、表情、動作・行動、態度・話し方、マナー、毎時の学習カード・ワークシート、活動の様子、児童との面接、作文、感想文等

☆児童による評価(自己評価・相互評価)・・・ 発表原稿、記録、メモ、レポート、資料、作品、表現、プレゼンテーション、ポートフォリオ、自分自身の気付き、工夫、がんばり、毎時の学習の振り返り、次の学習への課題、思い・願い、自分の学習の足跡・深まり、友達のよさや課題(気付き、着想、工夫、がんばり)等

☆保護者や地域の学習に携わった方々からの言葉・・・ 児童の活動状況の把握、評価と支援への活用、児童への励ましや助言

②カードやワークを作るときの留意点

・どの場面でどのような評価方法をとるのか明確になっているか。
・ワークシートや学習カードのタイトルが工夫されているか。
・レイアウトは子どもの意欲を喚起するものか。
・子どもが記載するスペース(分量)や時間設定は適切か。
・学習への興味・関心を評価できるか。
・学習の目的がつかめているかどうかを評価できるか。
・単元全体の課題や思い・願いを評価できるか。
・課題解決のための見通しを評価できるか。
・毎時の学習課題や思い・願いを評価できるか。
・次の学習への期待や課題を評価できるか。
・個性や独自性を評価できるか。
・気付きや、学び、伸び、創意工夫等を評価できるか。
・課題解決の喜びを評価できるか。
・つまづきや失敗、停滞を把握し、適切な支援ができるか。
・成就感や満足感、達成感を評価できるか。
 

1.セカンドスクールの概要

 
セカンドスクールは、東京都武蔵野市の全小中学校が実施している集団宿泊的行事です。小学校は5年生を対象に6泊7日から8泊9日で行っています。実施する場所や宿泊施設、活動内容は各学校が独自に決定します。MUSASHINO DAISHIでは、長野県飯山市の戸狩温泉スキー場周辺(北条地区)で、5月末から6月上旬にかけて7泊8日で実施しています。
 豊かな自然環境の中で、子どもたちは農業体験、漁業体験、自然体験等を行っています。また、現地の方々や友達、指導員、教師との8日間にわたる深い関わりを通して、短期間の宿泊行事では見られることのない変容を遂げています。
 本校ではこのセカンドスクールを学校行事としてだけでなく、5年生の総合的な学習の時間の年間を通した中心的な単元として位置づけ各教科・特別活動との関連化を図ることによって、児童に「生きる力」の育成を図っています。
 

2.セカンドスクールの目的は

①自分から進んで活動したり、学習したりする力を身につける。
②自然に親しみ、ふだんの学校ではできない学習・体験をする。
③宿舎での生活を自分たちで工夫し、色々な問題を自分たちで解決する力を身につける。
④家庭をはなれ、自然の中で心と体を鍛える。
⑤ 一人一人のよさを認め合い、互いに協力し合うことの大切さを学ぶ。の五つです。

3.飯山市の自然と環境について

 飯山市は長野県の最北部に位置する日本有数の豪雪地であり、ブナの原生林を有する山並みが千曲川をはさむ、風光明媚で大変豊かな自然に恵まれた土地です。稲作とアスパラガス・きのこ等の栽培が盛んです。また、かつての飯山藩主の寺社の積極的な保護政策もあり古いお寺が整然と並んでいます。伝統工芸では、内山紙・飯山仏壇等が伝わる歴史の深い町でもあります。さらに一時間ほどで日本海にも出られ、漁業体験もできます。

4.宿泊施設・指導体制について

 戸狩温泉スキー場近くの六つの民宿に、子どもたちは10人ほどのグループにわかれて宿泊します。学校からは校長、担任2名、他学年の担任1名(途中交代)が引率する他、学生等の生活指導員が各宿1名と、植物に堪能な学習指導員が1名、加えて市が委託した看護婦1名が同行します。民宿の方々は、子どもたちの親代わりになって世話をしてくださるだけでなく、様々な体験学習の指導もしてくださいます。

5.主な活動プログラムを紹介します       

《☆全体で活動、★個人または課題別グループで活動、◆宿ごとに活動 》
 
 開校式☆、箸作り◆ 田植え☆、課題別学習1★ 宿ごと体験1(そば打ち等)◆ 漁業体験(新潟県能生町・・・地引き網、せり見学等)☆、ブナの森ハイキング☆ 課題別学習2★ 笹寿司作り◆ わら草履作り◆ 課題別学習3★ 飯山線の旅☆ 寺巡り☆ きのこ工場・野菜集荷場見学☆ 焼き板工作◆ 宿ごと体験2◆ 雪国のくらしを学ぶ◆ お別れ夕食会◆閉校式☆

6.教育課程への位置づけについて

① 各教科や特別活動等との関連について
 セカンドスクールでの活動は各教科等の学習と深く結びついています。特に社会科の学習内容について補完したり関心を高めたりする教材に恵まれているので、年間指導計画に有機的に関連づけました。

② 期間中の時数配分について
・総合的な学習の時間22H 課題別学習、社会科見学的学習のうち児童個々の学習課題に即した活動または学習課題設定をしている活動を総合的な学習に位置づけました。 
・国語 1H 家族への手紙書き 

・社会 3H 能生漁港、野菜集荷場、
きのこ工場見学、
       飯山市内ウォークラリー 

・理科 1H ブナの森ハイキング 

・家庭 1H 飯山の郷土料理「笹寿司づくり」 

・図工 2H 箸づくり、焼き板工作 

・学級活動 3H バス内のレク、最終日のお別れ会

・学校行事 6H 開校式、閉校式、行き帰りの移動

7.セカンドスクールの成果

① 8日間の集団生活により、子ども同士の人間関係が深まり円滑になりました。これはその後の学校生活にも大きく影響しています。
②子どもたちの自主性、自立性が高まりました。これは期間が長く活動プログラムに時間的な余裕があるため、子どもの変化を待つことができたためだと思います。
③人に対する感謝の気持ちや自然への畏敬の念を育てることができました。また、自然の中で暮らす人々の努力や苦労も学ぶことができました。
④様々な体験活動を通して、各教科等で学んだことを補完しただけでなく、自然や農漁業、環境問題など関連する学習への興味関心をさらに高めることができました。

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